2024/02/13 13:23

「 ○▼※△☆▲※★●!? 」



なんだか外が騒がしい。

部屋を出てロビーに戻ると、そこは別世界のようだった。


スタッフたちはロビーで綱引きをしており、その歓声と笑い声が館内に響き渡っていた。彼らの間には、お花で美しく飾られた模様が描かれており、「Happy ONAM」という文字が輝いていた。



「ONAMって何?」


興味津々で尋ねると、スタッフの一人が目を輝かせながら答えてくれた。それはケララ最大のお祭りで、インド神話の王がケララに戻ってくることを祝う祭事だという。

そんな特別な日にここにいられるなんて、私はどれほど幸運なのだろうと感じずにはいられなかった。


綱引きには参加しなかったものの、スタッフたちが楽しそうに祝う様子を横で見ているだけで心が温まった。すると、一人のスタッフが近づいてきて、「何か食べるか?」と声をかけてくれた。私は喜んでその申し出を受けた。


大きなバナナリーフの上に、彼らは手作りの料理を丁寧に盛り付けてくれた。スプーンやフォークを使うかと尋ねられたが、私は現地の文化を尊重し、手で食べることにした。チャンドラニさんがかつて教えてくれたように、手で食べることで食物の温度や粘度を直接感じ、より食事を楽しむことができるのだ。




様々な新鮮なスパイスを効かせた絶品のインド料理を味わいながら、ONAMを祝う料理をその本場で堪能できる喜びに心が満たされた。スタッフは気遣いがあり、さらに食事を勧めてくれたが、もう十分に美味しい料理を堪能した後だったので、感謝を込めてお断りした。


この日の経験は、カーブを曲がるごとにハラハラしながらも、クミリーへの旅路の苦労をすべて忘れさせてくれた。沢山のスパイス、素晴らしいスタッフたちとの出会い、そしてONAMの祝福。これら全てが私のクミリー初日を忘れられないものにした。


部屋に戻り、真っ暗な夜の静けさの中、チャンドラニさんにメッセージを送った。私の心は、チャンドラニさんからの返信と同じように、平和と幸福で満ち溢れていた。



「Happy Onam to you. May the Onam bring prosperity, health and happiness for the coming year.」



そして、周りは静かな山奥、電灯の光もほとんどない中、私は深い眠りに落ちた。


続く